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廃棄物最終処分場立地問題の新世紀

金谷健
環境計画学科環境社会計画専攻
環境社会システム大講座

1.廃棄物最終処分場の立地問題とは?

 日本では毎年7900万トンの最終処分廃棄物が発生しており、その処分空間が、「毎年新たに」必要になる。この「毎年新たに」という点が、処分場問題の解決を著しく困難にしている大きな理由の1つである。「これでずっと大丈夫」という「持続的」解決策が、見えないからである。なお同じ「迷惑施設」である廃棄物焼却施設の場合、立地スペ−スを必要スペ−スの2倍確保すれば(実際には困難だが)、少なくとも原理的には「持続的」解決策が見えるのと、対照的である。

 実際、処分場残余年数(=処分場残余容量/年間最終処分廃棄物量)は、日本全体の平均として、一般廃棄物が11.2年(1997年度)、産業廃棄物が3.1年(1997年度)及び1.6年(1999年度推計値)であり、特に処分量の多い産業廃棄物の処分場残余年数が短く、深刻な問題である。

2.ではどうすればいいか?(現在の解決方向)

 まず最終処分(廃棄物)量を減らすという解決方向について。これは、最終処分量を減らす直接策の他に、排出量を減らすこと、リサイクル量を増やすこと、中間処理減量化量を増やすことも含まれる。まず直接策としては、処分料金値上げや産廃埋立税(三重県検討中)等がある。また排出量を減らすために「ごみ処理有料化」などが検討(一部実施)され、リサイクル量や中間処理減量化量を増やすために各種リサイクル法の制定・施行などがされている。

 次に処分場残余容量を増やすという解決方向について。これは新規立地を促進することと同義であるから、反対されない処分場をつくる(ハ−ド面)+処分場づくりをする(ソフト面)、ということである。そこで、遮水シ−ト破損による地下水汚染防止等のための二重シ−ト化、生活環境影響調査の実施、地域還元や住民参加による処分場づくりなどが検討(一部実施)されている。しかしこうした、残余年数を延ばす、という解決方向のみでいいのだろうか?

3.新たな解決方向追加の模索

 2で紹介したような解決方向は、当然重要であり、特に短期的・中期的には、こうした方向しかないと私も考える。しかし長期的には、最終処分量ゼロ(あるいは大幅削減)でない限り、結局は処分先が常に新たに必要となり、「持続的な」都市計画・地域計画が困難となる。実際、政府の廃棄物減量化目標量は、「2010年までに最終処分量を現状の半分に削減」である。この目標の達成自体が大変だが、もし達成できたとしても、現状の半分の最終処分量は10年後以降も「毎年発生する」事を意味する。

 そこで、むしろ、処分場建設でなく、都市・地域計画の中に、最終処分廃棄物(を無害加工したもの;イメ−ジとしては溶融スラグ等)搬入先を「持続的」に組み込むことが、必要ではないか?
具体的には道路路盤材への使用、さらには都市・地域の地面そのものの計画的「かさ上げ」、あるいは人工的な丘づくりなどの方向である。この方向なら、「持続的な都市計画・地域計画」に最終処分場を組み込む事の「原理的な可能性」が模索できそうに思える。

 こう考える、もう一つの理由は、廃棄物問題の解決に伴う「負担」や「リスク」は、全体として減少させると同時に、市民全員で少しずつ共有化すべきと考えるからである。その意味で、日常生活から離れた山間部や海面でなく、なるべく身近な所で解決方向を見いだすべきで、仮にそのために全体としての環境リスクが少々増加しても、それはやむを得ないのではないか。

 新世紀を迎え、廃棄物最終処分場立地問題に関して、以上のようなことを考えている。