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二年間の卒論指導

金谷健
環境計画学科社会計画専攻
環境社会システム大講座

1.はじめに

 テーマを自ら設定して(あるいは指導教員から設定されて)、その調査・解明方法を考え(あるいは指導教員から設定されて)、結果を出して、その一連の内容を報告書・論文に論理的にまとめる、制限時間内で口頭発表する。こうしたプロセスを学生に体験させ、卒業後は自分でできるようになること、それが卒論の意義と私は考えている。
 そして、こうした「卒論の意義」は、学生の卒業後の進路がどんな分野であっても(=環境関係でなくても)、充分に有効な、普遍的なものであることを、学生には強調している。これは、卒業生の進路が環境関係以外であることが少なくないという現実を考慮した、強調である。

2.卒論のテ−マ

 私の研究室には、主に廃棄物に関心のある学生が配属してくる。テーマは下記の通りである。
(1) 1998年度;卒論生5名
1)滋賀県の県庁土木工事における建設発生土の物質フロー
2)滋賀県の県庁土木工事におけるコンクリート塊、アスファルトコンクリート塊の実態調査及びフローの解明
3)焼却灰溶融スラグの道路路盤材へのリサイクル可能性
4)愛知県における廃自動車のリサイクル
*土木学会「環境システム研究」Vol.27に金谷と学生(服部陽子)の連名で投稿・掲載。服部は発表も経験(発表時、院生)。
5)滋賀県立大学でのISO14001認証取得の必要性と予想される問題点
(2) 1999年度;卒論生4名
1)滋賀県の市町村における焼却灰溶融スラグの利用可能性
 2)彦根市のごみ排出量予測に関する研究
 3)環境報告書の評価と評価手法
 4)環境家計簿継続の条件
(3) 2000年度(素案);卒論生6名+修士2年1名
1)廃棄物分別の「面倒さ」の定量的評価;今後2テーマに分離
2)産業廃棄物の情報公開
3)事業系「生ごみ」の物質フローの解明;今後2テーマに分離
 4)塩素系プラスチックの他素材への代替
 5)自動車の複数台数保有削減(修論)

3.卒論指導への学生の評価

 1999年度卒論生4名の、私の卒論指導への評価は次の通りである。すべて原文のままである。
(1) あなたの卒業研究の出来映えは100点満点で何点ですか、またその理由は。
A君:80点。目的に沿った結論で、内容も自分で満足したモノが出来た。発表で指摘を受けた項目は納得できるもので、私の論文に欠けているものであった。
B君:30点くらい。不備点をおぎなえていないため。
C君:60点。結果から出る考察ができていなかったため。また文章としてまとめることがあまりできていなかったため。
D君:30点。達成度は中間発表のレベルであった(50点)。テーマを変えたことにより、取り組む時間が少なかった(−20点)。当初テーマの勉強不足。
(2) あなたの卒業研究に対する指導教員の指導は的確でしたか?
A君:YES。指導がなければ、卒論は出来上がらなかったかもしれない。的確な指導でした。
B君:的確であったと思う。卒業研究においてほとんど指導をもとに行ったため。
C君:YES。テーマを決める時や目的を決める時、こちらの意見を聞いてくれた上で、卒論テーマとなるようにいろいろと指示してくれたので。
D君:YES。疑問に対しての筋道を示してくれる(研究の進め方)。方法論(論文を書く上での作法、発表のし方など)も細かく指導して頂いた(技術的部分で有益だった)。
(3) あなたが卒業研究を通じて得たもののうち、一番大きいものは何ですか?
A君:論文を完成させることで、充実感を得た。就職した後も利用できるような情報や知識を得た。
B君:自分がどこにもないものを作ることができたこと。がんばることができることがわかった。
C君:計画をたててすることの大事さ。
D君:方法論、研究の何たるか。
(4) 指導教員に対して何でもいいたいことを書いて下さい。
A君:御指導ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。
B君:御迷惑をかけました。ありがとうございました。
C君:いつも計画を立ててやるように言われていたにもかかわらず、それをせずに自分の思うままにやっていたため、後々になって苦しみました。計画を立ててすることの大事さがよくわかりました。
D君:ありがとうございました。ポットがあると良かったです(研究室に)。

4.卒論指導の感想、自己評価

A君:就職が比較的早く決まり(6月末)、7月からずっとコンスタントに卒論に取り組み、指導教員としては指導がとても楽であった。ただ、もっと課題を課しても彼ならやれたのでは、という気もしている。それが反省点。自己評価70点。
B君:卒論着手までの授業等での印象は、正直あまり真面目でないな、というものであった。そのため指導も大変かなと心配したが、予想以上に真面目に卒論をやった。上記3(3)(卒論で得たもの)でのB君の評価は、とてもうれしい。ただ、彼の能力ももっと伸ばせたのではと反省している。自己評価65点。
C君:「環境家計簿継続」にこだわり続けた点は立派。上記3(4)にあるように、なかなかデ−タが集められかったが、それでもあきらめなかったのは、すごい。なお「計画を立てることの大事さ」を何度も言ったがわかってもらえなかった。それが卒論を仕上げて初めてわかってくれた(上記3(3)、(4))。とてもうれしい。自己評価80点。
D君:テーマを10月中旬に変更せざるを得なかったことに、指導教員として責任を痛感している。もっと早めに変更させるべきだった。自己評価40点。

 2000年度は、この2年間の経験を活かして、もっともっと学生のためになる卒論指導をしたい。